野良猫の一生 2

今日は、土手のミ―ちゃんの話をしようと思います。



彼女との出逢いは、かれこれ10年以上も前のことである。
土手の猫達に関わるようになって、自然と土手に住むホームレスさん達とも
話をするようになり、猫の相談も増えて来た時期でした。

橋の下に、まだ沢山のホームレスさん達が住んでいて
その中には、土手に捨てられたり産まれたりした猫達を飼っている人達が
何人かおり、口コミで親子猫の手術を頼まれたのが、きっかけでした。

依頼者は、ホームレスなので、手術費用を請求するわけにもいかないから
当時、お世話になっていた愛護団体で安く手術をして貰っていた。

何も、お礼が出来ないけどと、おじさんは絵をくれた。
美空ひばりさんのスケッチ画を数枚・・・上手だ。
聞けば、昔、映画の看板描きをしていたらしい。

時間だけは、いっぱいあるからね〜。
と、照れ笑いしていた。



2007年の9月 台風で川が決壊し土手は濁流に飲まれた。
ホームレスさん達の小屋も、木々も生き物も全て流されてしまった。
あの時の絶望、おじさんの曇った横顔、未だに忘れられない。

水が引いて、ドロドロになった地面に足を取られながら
それでも、餌場に通った。誰か生き残っては居ないかと。
数日後、置いた餌の周辺に無数の猫の足跡を発見した時
私は、歓喜した。

生きている、生きている、生きていたって!!!



自然の猛威に翻弄され、やっと平穏を取り戻したと思った矢先
今度は、橋の耐震工事が始まった。

台風の時に、猫達が助かったのは、頑丈な木々やホームレスの家
又は、橋げたに寄り添うように建てられた小屋等の屋根の上に
避難し、そこから橋の下の隙間へと移動が出来たからだ。

耐震工事の規模は大きく、長期にわたる予定だった。
当然、ホームレスさん達は、立ち退きを勧告され、
小屋は全て撤去、立ち入り禁止となった。
そして、猫達は行き場を無くした。

徐々に進む、工事の邪魔にならない様に、現場監督に交渉。
了承を得て、少しずつ餌場をずらしていくことにした。
猫というものは、いきなり数10メートル先でもあっても
素直に、一気に引っ越してはくれないのだ。



やっと、河川敷に落ち着いた頃
生活保護を受けながら、猫達の世話に通っていたおじさんが
仮住まいのアパートの取り壊しで、引っ越すことになった。

ミ―ちゃんの子供のひとり、チロくんというオスを
たいそう可愛がっており、勝手に黙ってアパートに
連れ込んで1年くらい飼っていた。
そんな事情で、新しい場所には
連れていけないからと土手に戻されてしまった。

チロは、とても良い子だけど喧嘩には弱く
何度となく、別の家系の気の強いメスや
流れ者のオスにやられては、怪我をしていた。

その都度、通院や投薬を頼まれたので
連絡があると、またか〜と思う事もしばしば。
でも、最後は違っていた。
様子が変だと聞いた翌日に、彼は逝ってしまった。

ミーちゃんも、一度具合が悪くなった事があったけど
チロの時に、自分の用事を優先してしまい、間に合わず
後悔したので、当時も、乳飲み子を抱えて忙しかったけど
近くの病院に連れて行き、大事に至らず、直ぐに回復した。



ミーちゃんには、もうひとり子供がいる
チ―ちゃんと言う、同じ三毛柄の女の子だ。
通ってくるおじさんを、いつも橋の下で待っていて
こうして、自転車のカゴに乗っけてもらうのが定番。



に、しても、おじさんは飲み過ぎだ・・・。
昼間から、お酒臭い〜心配をしていたら
案の定、病院のお世話になるようになってしまった。

入退院を繰り返し、最初は、何日まで検査入院だから
世話を頼むよーなんてメモを残してくれていたのに
段々と連絡もなくなって、とうとう来なくなってしまった。

たまたま、以前から知っていて、猫を飼っていたホームレスさんが
隣の小屋に越してきたので、世話は、その方が引き受けてくれた。



今年の5月末の夜、世話をしていたホームレスさんが
慌てて訪ねて来た。ミ―ちゃんの具合が悪いと・・・。

翌日、行ってみると、やせ細り息も絶え絶えになっている。
半ば、老衰かと諦めかけたが、苦しんでいるのを
放っておけず、仕事遅刻覚悟で病院へ、そのまま入院させた。

調べてもらうと、左心房に大きな血栓が見られた。
処置のしようがなく、点滴や出来うる限りのケアをお願いしたが
2週間後に、静かに息を引き取った・・・。
享年、推定13歳でした。



他にも、今でも、土手っ子達は、沢山いて健気に生きている。
ミ―ちゃんだけが、特別な存在ではないのだけれど
付き合いや歴史が長い分、どこか私の中で
土手っ子の象徴の様な感じで、携帯の待ち受けにしてたことも(^^ゞ

野良猫は、強いとか逞しいとか自由であるべきとか
言う方々が、たまにいますが、果して、そうでしょうか。
たとえ、そうであっても、痛みは感じるのですよ。

暑くても、寒くても、ひもじくても、何があっても
時には、嫌われ、時には、要領よく、生き延びて
ちゃんと、限りある命を、まっとうしている。
それだけは、わかっている。



それと、もうひとつ、わかっていること。
ミーちゃんが、とても好きだった。ってこと。

叶うならば もう一度 あの甘い甘い
むせかえるほどの 薫風なかを
かけてくる 君の姿を みたかった
















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